相続した土地の国庫帰属制度とは?上尾市・埼玉で不要な山林や田畑を相続した方は必見

query_builder 2023/04/07
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本コラムでわかること

本コラムでは、令和5427日からはじまる「相続した土地の国庫帰属制度」について解説しています。相続した土地の国庫帰属制度の利用できる土地、できない土地を理解し、ご自身の場合は利用すべきかどうかについて、具体例を挙げながら解説していきます。

 

相続した土地の国庫帰属制度とは?

相続した土地の国庫帰属制度とは、申請対象の土地を国庫に帰属させる制度です。


この制度を利用するメリットは、売却等をしなくても土地を手放せる点です。たとえば、不要な山林や田畑を相続した方が、土地を売却するとなれば相応の労力がかかりますし、維持するにも固定費用等がかかってしまいます。不要な土地というのは、ただ持っているというだけで負担になりかねないのです。しかし、令和5427日からスタートする、相続した土地の国庫帰属制度を利用することで、今後は任意で土地を手放せるようになります。


ただし、相続したすべての土地で国庫帰属制度を利用できるわけではありません。利用には一定の要件が定められていて、想像以上にハードルが高いものとなっています。


また、国庫帰属制度は無料で利用できるわけではなく、費用もかかってしまうことから、利用する際は慎重に検討しなければならない点にも注意です。

現在、制度開始に向けての情報が法務省のホームページにて随時更新されています。

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00454.html

 

なぜ国庫帰属制度が始まるのか?

国庫帰属制度がはじまる大きな理由としては、少子高齢化によって相続開始が遅れてきていることや、景気不安定による収入不足などが挙げられます。土地を相続しても管理ができない方が増加傾向にあり、手放したいと感じている方が年々増えてきました。


中には、管理ができずに土地をそのまま放置する方も増えてきていて、草木が生い茂ったり、老朽化したりした建物に地域住民が迷惑しているという実態があります。国としても、管理の行き届いていない土地が度重なる相続によって所有者不明となり、自治体などが行う公的事業への支障になることを懸念している、といった背景もあります。


また、令和64月からは、相続登記申請が義務化されることになります。こちらは、まさに所有者不明の土地を出さないために施行される制度といっても過言ではりません。


こうした昨今の社会情勢等が相まって、所有者不明の土地の放置を防止すべく、国庫帰属制度や相続登記申請の義務化等が始まることになりました。

 

どういった土地だと国庫帰属制度の利用ができないのか?

では、具体的にどういった土地だと国庫帰属制度の利用ができないのでしょう?

法務省によると、以下のような土地は国庫帰属制度の利用が難しくなります。


●却下要件(申請自体認められない土地)

1.建物の存する土地

2.担保権又は使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地

3.通路、その他の他者による使用が予定される土地(墓地・境内地など)

4.土壌汚染対策法上の特定有害物質により汚染されている土地

5.境界が明らかでない土地その他の所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地

https://www.moj.go.jp/content/001382361.pdf の③より引用

 

●不承認要件(審査によって却下される可能性がある土地)

1.崖(勾配が30度以上であり、かつ、高さが5メートル以上のもの)がある土地のうち、その通常の管理に当たり過分の費用又は労力を要するもの

2.土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物、車両又は樹木その他の有体物が地上に存する土地

3.除去しなければ土地の通常の管理又は処分をすることができない有体物が地下に存する土地

4.隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ通常の管理又は処分をすることができない土地(隣接所有者等によって通行が現に妨害されている土地、所有権に基づく使用収益が現に妨害されている土地)

5.通常の管理又は処分をするに当たり過分の費用又は労力を要する土地

https://www.moj.go.jp/content/001382361.pdf の③より引用

 

なお、今後は内閣の出す政令、各大臣が出す省令などの詳細についても決められることになるため、制度利用をご検討されている方は、法務省のホームページにて最新の情報を確認するようにしましょう。(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00454.html

 

国庫帰属制度を利用するのに費用はかかる?

相続による土地の国庫帰属制度は、原則として20万円を負担金として納めなければなりません。20万円の内情は、国庫帰属後の管理費用の10年分を申請人が負担するといったものです。実際に20万円もかかるかどうかは、土地の状況にもよると言えますが、基本的に安くなることはないと考えておきましょう。また、あくまでも20万円は原則であるため、例外的に20万円以上の負担金が必要な場合もあります。よって、あまりに負担金が高額になる場合は、将来的な負担と天秤にかけた上で制度利用を判断する必要があります。


具体的な金額は以下のとおりです。

1.宅地

面積にかかわらず、20万円

ただし、一部の市街地(注1)の宅地については、面積に応じ算定(注2

2.田、畑

面積にかかわらず、20万円

ただし、一部の市街地(注1) 、農用地区域等の田、畑については、面積に応じ算定(注2)

3.森林

面積に応じ算定(注2)

4.その他

面積にかかわらず、20万円

 

注1:都市計画法の市街化区域又は用途地域が指定されている地域。

注2:面積の単純比例ではなく、面積が大きくなるにつれて1㎡当たりの負担金額は低くなる。

https://www.moj.go.jp/content/001382361.pdf の④より引用

 

具体的に国庫帰属制度の利用が想定されるケース

 

相続人が全員県外に住んでおり、田舎の山林や田畑のみ相続したケース

相続人が全員県外に住んでいて、田舎の山林や田畑のみ相続したケースでは、国庫帰属制度の利用が想定されます。相続人のうち1人でも、田舎に引っ越して山林や田畑を管理できるのであれば、問題が生じることはありません。しかし、誰も田舎に引っ越したがらないのであれば、田舎の山林や田畑を管理する者が誰もいなくなってしまいます。もちろん、この土地を積極的に相続したいと感じる相続人もいなかったとしましょう。


こういった場合、国庫帰属制度を利用し、土地を手放してしまうことで、相続人全員の負担を軽減させることができます。ただし、国庫帰属制度は相続人全員の合意がなければ利用することができません。一般的に、遺言が見つからなかった場合、遺産分割協議にて各相続人の所有分を取り決める前の不動産は、相続人全員の共有名義となっています。相続人全員で国庫帰属制度の利用を申請しましょう。

 

預貯金や自宅は相続し、不要な山林、田畑は相続したくないケース

預貯金や自宅は相続して、利用する予定のない不要な山林、田畑だけは相続したくない、そんな風に感じる方は多いはずです。


相続には、はじめから相続人ではなかったことになる相続放棄や、プラス財産の範囲内で負債を取得する限定承認といった手続きはありますが、不要な財産だけを相続したくない、といった手続きはありません。原則的に、預貯金や自宅を相続するのであれば、不要な山林や田畑も相続しなければならないのです。


こういった場合、国庫帰属制度を利用することで、不要な山林、田畑だけを手放すことができます。ただし、国庫帰属制度を利用する場合、対象となる土地は原則的に更地でなければなりません。土地の現況をしっかりと確認した後に、申請するようにしましょう。


もし、遠方で土地の現況が確認できないといった場合は、管轄の法務局に相談してみてください。(https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/kankatsu_index.html

地方法務局の不動産登記部門にて、国庫帰属制度利用の相談を受け付けています。

 

まとめ

相続した土地の国庫帰属制度は、令和5427日からスタートします。


相続した土地を手放したいと感じている方は、積極的に利用してみましょう。ただし、利用には細かな要件を満たす必要があるばかりか、負担金も支払わなければならないため、手放したい土地の現況を把握する必要があります。


もしご売却または国庫帰属制度のご利用により、相続財産である不動産をなんとか手放したいとお悩みでいらっしゃいましたら司法書士法人奏にご相談ください。不動産会社とも連携し、お悩み解決のお手伝いをさせて頂きます。

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